2009.05.21 - トニック・ソルファ 2 (移動ド)
前回のポストで、19世紀のイギリスで発明された「トニック・ソルファ」という音楽上のシステムを紹介した。昔からあった「ド・レ・ミ・・」のシステムに改良を加えたものだ。
以前からのイタリア方式に比べると、トニック・ソルファの新しい点は、シャープやフラットが付いた音も含め全ての音に固有の名前が付くという点にある。(ドのシャープはディ、という風に。)
トニック・ソルファのもう一つの新しい特徴は、ドを好きな所に移動させてそこからシステムを組みなおすことが出来るという点だ。例えば、ドをEbに定めて、その音Ebに根ざしてトニック・ソルファを新しく築くことが出来る。

Tonic Solfa in Eb
Ebがドであるならば、レはFになる。なぜなら、ドとレのインターバル(間隔)はメジャー2nd(又は全音、又は半音2つ分)だからである。同様にミはGになるが、これもやはりミとレのインターバルは半音2つ分ということになっているからだ。そして、トニック・ソルファの「シャープ/フラット付きの音にも名前が付く」というルールをそのまま用いることが出来る。
ゆえに、Ebの半音上の音であるEナチュラルは「ディ(Di)」又は「ラ(Ra)」となる。同じように、Fの半音上であるF#は「リ(Ri)」あるいは「メ(Me)」となる。
ところで、そのEナチュラルを「Di」と呼ぶか「Ra」と呼ぶかは、その時のコンテクスト(文脈)に拠る。詳しく説明するためにはもう1ページ必要になってしまうのだが、簡単に言うと、それはハーモニー分析と関係していて、その音がコードやその瞬間のキーに対してどういう役割を果たしているかによって決まってくる。