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"(All U Have to Do is) Snake"

Oct 2007 || Score
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(All U Have to Do is) Snake image 2007年10月に作った曲です。「20年前のクラブミュージックとリンクする曲を」作ろうと思い、80年代後期のアシッド・ハウス(Acid House)を沢山聴きこんでから作りました。

アシッド・ハウスというのは、ハウス・ミュージックの1分野です。まずハウス・ミュージックですが、これは80年代中頃にシカゴのクラブシーンから起こった音楽で、その名の由来は、「The Warehouse」という店の名前であるという説や、このジャンルのプロデューサーが主に自宅で制作を行ったことによるという説などがあります。音楽的な特徴は70年代のディスコ・ミュージックから多くを受け継いでおり、4拍全てで鳴らすキック・ドラム(いわゆる「4つ打ち」)や、反復的なアレンジなどが主に挙げられます。

ハウス・ミュージックの制作によく使われた機材には、Roland社のドラムマシン「TR-808」「TR-909」や、ベース・シンセサイザー「TB-303」などがあります。このTB-303の、つまみを回すだけでサイケデリックな音色変化を得られる機能がクリエイター達の間で大受けし、その特徴を最大限に生かした曲が多く作られるようになりました。これがアシッド・ハウスで、ウネウネとまるで爬虫類の生物のようにうねる音色によるリフレインが主役を担う音楽です。ちなみに「アシッド」とはLSDの俗称で、TB-303の音がドラッグ使用時の「トリップ感(思考が次から次へと移って行く)」を彷彿とさせるところからその名が来たと言われています。

この曲では、「バイ・トーナリティ(Bitonality)」と呼ばれる技法を使いました。トーナリティとは「調性」「キー」という意味なので、バイ・トーナリティとは「2つのキーを同時に使うこと」を意味します。

Bitonal 1
シンセ・パッドが入ってくる所 (00:47)。下のパート「Sawtooth Low」(例のウネウネ音です)がEマイナーのリフを反復している所に、シンセパッドによるF#mのコードがかぶさります。(hear)
Continue to the right column
(Continued from the left column)
Bitonal 2
前の例のすぐ後 (00:55)。同じくEmのリフに、パッドがEbmのコードを乗せます。(hear)

左下の例では、Key of EmとKey of F#mが、上の例ではKey of EmとKey of Ebmが同時に使われていて、これらがバイ・トーナリティだという訳です。

左下の例だけを見ていると、Emの上にF#, A, C#の3音がテンションとして加わっているので、バイ・トーナリティと言うよりもEドリアン・モードの使用であるという可能性も出ますが、29小節目に入って上の例が鳴るとその可能性はなくなります。

Constant-interval harmonizing
続いては、「音色強化的意味合いを持つ平行ハーモナイジング」の例です (01:02)(hear) これはラヴェルの「ボレロ」にも見られる技法で、ある旋律の上に(或いは下に)一定不変のインターバルを保ち続けるもう一つの旋律を付けるというものです。

下のパートがシンセのSawtooth(ノコギリ波)の音色、上がバイオリンの音色で、両者は短3度の音程を保ったまま進みます。この平行ハーモニーは複数小節に渡って反復されます。

普通メロディをハーモナイズする時は、同じインターバルを空けたまま続けて行くのではなくキーに合わせて短3度を長3度にというような微調整をしたり、対位法的に違う動きをする旋律をあてたりするものですが、まれにこの例のようなパラレルなハーモニーも使われます。ある意味特殊効果的な用法で、パイプ・オルガンのストップ(音詮)を操作して音色を変化させる行為を模したものとも言えます。そのオルガンのストップ操作が電子的な作業に置き換えられシンセサイザーが誕生した訳ですが、そうした音色操作的なことを楽譜の上で、つまり作曲の段階でやってしまおうというのがこの技法の根幹にある発想だと思います。

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